塾テナント契約の「反社会的勢力排除条項」とは|なぜ役員全員の本人確認が必要になるのか、審査でつまずかないための準備
学習塾のテナント契約書を読んでいると、必ずといっていいほど「反社会的勢力の排除に関する条項」という条文に出会う。賃借人(塾の運営者)が暴力団や暴力団関係者、その他反社会的勢力に該当しないことを表明・保証し、万一該当することが判明した場合は大家側が無催告で契約を解除できるという内容が一般的である。この条項自体は貸主・借主どちらの業種であっても共通して盛り込まれるものだが、法人を新規設立して塾を開業するケースでは、この条項に付随する「入居審査」の段階で想定より時間がかかることがある。個人で塾を営んできた塾長が法人成りして2校舎目・3校舎目のテナントを契約する際にも、思わぬところで手続きが止まる原因になりやすい。
なぜこの条項と審査が必要なのか
各都道府県が定める暴力団排除条例により、不動産の賃貸借契約から反社会的勢力を排除する取り組みが求められるようになって以降、管理会社や大家は入居審査の一環として、賃借人本人だけでなく、法人契約の場合は役員全員について本人確認や反社チェックを行うことが一般的になっている。個人事業主として契約していた塾長が、生徒数の増加や税務上の理由で法人を設立し、その法人名義で新たにテナント契約を結ぼうとすると、代表者だけでなく取締役全員分の本人確認書類や誓約書の提出を求められることがある。設立直後の法人では登記簿謄本の内容が最新でなかったり、役員の本人確認書類がすぐに揃わなかったりして、審査に想定以上の日数がかかるケースがある。
つまずいた事例・スムーズだった事例
ある塾長は、個人塾を法人化した直後に2校舎目のテナント契約を進めようとしたところ、管理会社から役員全員分の本人確認書類と誓約書の提出を求められ、非常勤役員として名前だけ入っていた親族の書類収集に時間がかかり、開校予定日の直前まで契約が確定しなかったという。一方、別の塾長は法人設立の段階で将来のテナント契約を見越し、役員全員の本人確認書類のコピーをあらかじめ揃えてファイルにまとめておいたことで、審査の依頼から契約締結までの日数を大きく短縮できたと振り返っている。物件の申込書を提出する前に、契約名義となる法人の役員構成と必要書類を整理しておくことが、開校スケジュールの遅延を防ぐポイントになる。
契約前に確認すべきチェックリスト
- 契約書に反社会的勢力排除条項が明記されているか、解除条件と違約金の有無を確認したか
- 法人契約の場合、審査対象となる役員の範囲(代表者のみか、取締役全員かなど)を管理会社・大家に確認したか
- 役員全員分の本人確認書類(運転免許証・登記簿謄本等)を事前に準備できているか
- 設立直後の法人の場合、登記簿謄本の内容が最新の役員構成と一致しているか
- 審査にかかる標準的な日数を管理会社に確認し、開校スケジュールに余裕を持たせているか
- 非常勤・名目上の役員がいる場合、その人物の書類収集にどれくらい時間がかかりそうか把握しているか
審査にかかる期間の目安
審査にかかる期間は管理会社や大家の体制、法人の役員数によって差が大きく一律には言えないが、個人契約に比べて法人契約、特に役員数の多い法人ほど確認に時間を要する傾向があるとされる。埼玉県内の東武東上線沿線(川越市・坂戸市・東松山市・ふじみ野市など)で複数校舎の展開を進める塾法人が新規テナントを契約する場合も、開校予定日から逆算して物件探しと並行で法人書類の準備を進めておくことが望ましい。契約直前になって役員の本人確認書類が揃わず、開校時期がずれ込むという事態は避けたい。
| 確認事項 | 準備するもの | 準備するタイミングの目安 |
|---|---|---|
| 役員全員の本人確認 | 運転免許証等のコピー | 物件の申込前 |
| 法人の登記情報 | 登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 申込書提出時 |
| 反社会的勢力排除に関する誓約 | 誓約書(管理会社所定様式) | 契約締結前 |
編集部からのアドバイス
反社会的勢力排除条項そのものは、まっとうに塾を運営している法人であれば恐れる必要のない条項である。むしろ問題になりやすいのは、条項の内容そのものよりも、審査に必要な書類の準備が後手に回り、開校スケジュールに影響してしまうことだ。特に法人成りしたばかりの塾や、複数校舎目を法人名義で契約する塾は、物件を探し始める段階で役員全員の本人確認書類と最新の登記簿謄本を手元に揃えておくと、審査から契約締結までの流れが滞りにくい。条項の具体的な文言や審査基準は管理会社・大家ごとに異なるため、契約前には仲介会社や管理会社の担当窓口に必要書類を早めに確認しておくことをおすすめする。
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